看護師にとって、看護観とはどのように看護を行っていくかという指針を定める上で欠かせない価値観だ。たとえば、医療スキルの向上に全力を注ぎ、キャリアアップを図ることを至上価値とする看護師もいれば、医療現場のコミュニケーションを重視し、他業種のスタッフや患者との円滑な交流を最優先とする看護師もいる。
たしかに看護観が無くても、淡々と与えられた業務をこなすだけで一応看護師としての仕事をすることはできる。しかし、看護観が無いままに仕事を続けていても、目指すべき目標も見つからず充実感や達成感を得ることは難しいだろう。
何よりも看護観が無ければ、ちょっとした逆境や失敗を経験しただけでも仕事を継続する意欲を失いやすい。
看護観は、看護師として仕事をしていくうちに育まれていくこともあるが、仕事に就く前に自分なりに看護観を備えておくことが望ましい。
看護師の業務に携わるうちに、医療過誤や患者の死など看護師としての関わり方が問われる場面が必ず訪れる。その際にブレない看護観を持っていれば、難局を乗り越えることができるだろう。
医療業務に携わる上では、常に原点に戻って看護観を確認しながら業務を遂行する姿勢が欠かせない。看護師の仕事は患者の健康や生命を預かる重大な責任を負うものであり、精神の根底にしっかりと根付いた看護観が無ければ職務に対する使命感や緊張感を欠き、大きな事故にも繋がりやすい。そのため、業務を遂行する上で大きな助けとなる看護観を持っていればブレずに行動することができ、患者からの高い信頼も得られるだろう。